「AIで考えたネーミング、商標登録できますか?」弁理士・ネームチェンジャー®が、いま正直にお伝えしたいこと
最近、お客様からこんな質問をよくされます。
「ChatGPTにネーミングを考えてもらったんです。これ、商標登録できますか?」
結論から言いますね。AIで考えた名前だからという理由で商標登録できないということはありません。
商標法は「その商標を人間が考えたものであること」を登録の条件としていません。AIが作った名前であろうが、人間が考えた名前であろうが、出願人(申請する人)が法人か自然人であれば、登録される可能性はあります。
ただ、AIを使うにしても、ちょっと考えて欲しいことがあるんですよね。
今日は、弁理士・ネームチェンジャー®のヤマダがAIネーミングについての正直な感想をお伝えします。
AIネーミングを否定する気はないです
「ちょっと考えて欲しいことがある」
こんなことを言うと、「AIネーミングなんて使えない。やめろ!」という方向にもっていくのかなと思われそうですが、そういうことではありません。
「AIなんて一般的なつまらない文章しか書けない」
そういう人もいますが、私は日頃の業務でAIを使っていますよ。このニュースレターの執筆も、生成AIのClaudeと相談しながら書いていますし、アイキャッチ画像もNotebookLMで生成しています。
AIは強力なツールです。使った方がいい。だから、「AIに頼らず、自分の頭で考えろ!」みたいなことを言うつもりはないんです。
ただ、AIに丸投げするのは良くない。AIに名前を考えさせて、その中から良さげなのを選んで、そのまま商標登録に持ち込む。これは、あんまりオススメしません。
では、どんなところに気をつけたらいいか?
それが今日のテーマです。
AIネーミングの、3つの落とし穴
私もネーミングにAIを使えないかなと日々、試行錯誤をしています。ただ、現状では自分が狙っているような気の利いたネーミングが出てこないというのが実感です。
先日もお客様が特許を取得した発明のネーミングをAIに考えさせてみましたが、イマイチでした(苦笑)。AIで作った名前をそのまま特許庁に出して商標登録を狙うのは難しいな...とも感じています。
皆さんもAIにネーミングをやらせてみたけどイマイチだった、なんて経験はありませんか?
AIネーミングの落とし穴・問題点は、大きく分けると以下の3つです。
① 「ユニークな名前」が出てこない
AIに作らせると、「ありきたりな名前」、「説明的な名前」しか出てきません。
生成AIは、学習データに基づいてネーミングを作っています。実際にあるブランド名や商品名からパターンを抽出し、それにならって名前を作るわけですから、当たり前といえば当たり前なんですけど。
だから、今までのヒット商品のネーミングに引っ張られて、どっかで見聞きしたような名前や二番煎じの名前になりがちです。
「ゴリラのひとつかみ」「脇肉キャッチャー」みたいな「ユニークな名前」「ぶっ飛んだ発想」はAIからは出てきにくいんです。
② AIは他人の登録商標を全て把握しているわけではない
AIは既に登録されている他人の商標を全て把握しているわけではありません。
ディープリサーチを使っても、特許庁のデータベースの中を全部調べているわけではない。だから、AIが選んだネーミングを商標登録しようとしても、他人の登録商標とカブってしまって特許庁に拒絶されることはあるでしょうね。
③ AIはネーミングに必要な情報をすべて持っているわけではない
AIに「うちの商品は〇〇な特徴があって、××な顧客を狙っていて…」みたいな説明をしてネーミングをしてもらったとします。
出てくるのは、それらの情報を忠実に反映した名前です。
でも、私がネーミングをする時に大事にしているのは商品の内容だけではありません。どんなキッカケでこの商品を作ろうと思ったのか?「開発の背景」や「開発への思い」だったりします。そういう情報から、他社との違い、差別化になる言葉が出てくるからです。
「AIは世界のすべてを知っている。でも、あなたのことだけは知らない」
(米国のマーケティング戦略家・リッチ・シェフレン)
あなたの情報が欠けていると、独自のネーミングってなかなかできないんですよ。
今のAIではこれらの問題点をクリアできません。だから、AIに丸投げして良いネーミングを作るのは難しいんです。
では、AIをどう使うか
私の使い方をお話しします。
私はAIにバリエーションを出させる前に、お客様(依頼者)の方から徹底的にヒアリングをします。皆さん、商品の内容はたくさん説明してくれるんですけど、「開発の背景」や「開発への思い」は語ってくれないので。そこを深堀りします。
AIを使うのはその後。AIにやってもらうのは、「バリエーションを出す」、「発想を広げる」部分を任せています。
まずは自分でネーミング案をいくつか作ります。そのネーミング案を添えて、「もっと、〇〇の方向性のネーミングにしたい。別のネーミング案を10個出して」みたいな指示を出します。
AIは言葉の辞書。言葉については全て把握していると言っていいでしょう。上のような指示を出すと、様々な類義語を拾ってきます。自分とは違う切り口の言葉をもってくるわけです。
それをヒントにして、また言葉を広げる、言葉を磨く、語感を調整する、別の言葉と組み合わせる...。これの繰り返しです。
AIに頼んで一発で良いネーミングが出てくることはまずありません。名前に深みが足りないんですよね...。AIから素材をもらって、その中から最終的なネーミングを磨き上げていく。ここはまだまだ人間の仕事なのかなぁと思っています。
そして、できあがったネーミング案は必ず商標調査にかける。J-PlatPat(特許庁の無料データベース)で先行商標を確認し、似た商標がないかチェックする。ここはAIには任せられない、弁理士の専門領域です。
つまり、AIはあくまで助手、仕上げをするのは人間の分業制です。特に、商標登録まで考えている方は商標法や商標調査の知識が必要。ここは専門家である弁理士の領域です。
「AIに丸投げして手軽にネーミングを作る。それで商標登録を狙う」はやめた方がいい
しつこいようですが、最後にこれだけは伝えさせてください。
AI時代になると、AIが専門家の代わりをしてくれる。わざわざ高いお金を払って専門家に頼む必要はない。それはわかります。
ただ、AIが作ってくれた成果を評価するのは素人であるあなたです。そこで、責任を持った判断をできるほどの知識が自分にあるか?は良く考えた方がいいですよ。
会社名や商品名などのネーミングはブランディングの要です。その名前に信用が貯まっていき、ブランドに育っていきます。
誰かの商標とかぶっていて権利侵害で訴えられる、商標登録を申請しても拒絶されて商標権を取れない、商標としての力が弱くて商品をアピールできない...。
それで、無駄にする時間やお金、失ってしまう信用を想像してみてください。あなたが思っているよりずっと大きいかもしれませんよ。
AIは便利な道具です。私も毎日使います。
でも、道具は使いよう。素晴らしい包丁も使い方を知らなければ、その良さを引き出せません。逆に、怪我をしてしまうことだってあります。
たかがネーミング。されどネーミング。ネーミングや商標は、あなたの会社の財産です。AIを使うのもいいけれど、たまには専門家である弁理士にも相談してみてください。
きっと、AIとは違った視点のアドバイスをくれるはずです。
「ネームチェンジャー®の視点」は、中小企業様や個人事業主様のビジネスを跳ねさせる商標登録や商品名のネーミング、企業のブランディングの話をお届けしています。
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AI便利な時代になりましたね〜🥹
商標はとってませんが、会社名は思想や理念を入れてAIで作りました!