「ネーミングなんて、B2Cの会社がやるものでしょ?」は誤解です
前回は「ブランディングが胡散臭く感じる」という誤解について話をしました。今回はもう一つ、よく耳にする誤解について。
「ネーミング?あれはB2C(個人向け)の商品でやるものでしょ。うちはB2B(法人向け)のビジネスだから、エモい名前なんて要らないよ!」
中小企業の経営者様、特に製造業の方、法人向けに特化したサービスを提供している会社様からはこういう声をよく聞きます。
でも、まぁまぁ、そう決めつけないでくださいな。
今日は、B2Bビジネスこそネーミングに取り組んで欲しい理由についてお話しします。
B2CとB2Bでは、良い名前の「方向性」「軸」が違うだけ
まずは一度、先入観を捨ててください。
ネーミングはB2Cビジネスでしか効かない施策ではありません。B2Bビジネスでも極めて有効です。ただ、ネーミングの方向性・軸が違うんです。
B2Cネーミングでよくあるのが、「面白さ」、「エモさ」、「キャッチーさ」などを前面に押し出した商品名です(「ゴリラのひとつかみ」など)。
これに対し、B2Bの商品名で効くのは「機能の合理性」「技術の信頼性」「納得感」です。
B2Bだからネーミングが要らないのではなく、B2Bに合ったネーミングをする、というだけの話なんです。
なぜB2Bこそ、名前が効くのか
B2B商品は、B2C商品とは商品購入に至るまでのプロセスが異なります。
B2C商品は、個人が商品売場で感情を動かされ、商品の購入に至るケースが多い。
一方、B2B商品は購入に至るまでに多くの人が関わり、長い時間をかけて決定に至ります。担当者が商品を見つけ、上司に説明し、稟議を通し、漸く商品の購入が決定する。それまでにかかる期間は何週間か、はたまた何ヶ月か。
この長い検討プロセスの間、その商品やサービスの名前は、社内で何度も飛び交うはずです。そこで、「あれ?何ていう名前のサービスだったっけ?」となってしまうと、検討対象から外れていく。
逆に、一発で覚えることができる名前、欲している機能が象徴的に表されている名前は、検討プロセスの中でどんどん浸透していく。
「性能で選ぶから名前は関係ない」のではなく、その性能を検討してもらう土俵に上がるために、覚えてもらえる名前の方が有利なんです。
事例で見る、B2Bの「効く名前」
では、B2B商品のネーミングとしてどんなものがあるか?具体例を見てみましょう。
例えば、「緩まないネジ」で知られるハードロック工業の「ハードロックナット」。新幹線や東京スカイツリーを支える重要な技術です。
この名前、機能が一発でわかります(硬くロックする)。しかも、音楽の「ハードロック」と音が同じだから覚えやすい。さらに、会社名と商品名が一致している。機能のわかりやすさと名前のわかりやすさ、ダブルでわかりやすい良いネーミングです。
SmartHRも、人事労務(Human Resources)をスマートにするサービスであることが一発でわかるネーミングですよね。楽楽精算も、経費精算が楽々になるという機能を端的に表しています。
ここで気がついてほしいのは、これらのB2Bネーミングが、「機能のわかりやすさ」を軸にしながらも、ただの機能説明には留まらず、語呂合わせをしたり、語感の良さを工夫したりして、ネーミングの完成度を上げている点です。
B2Bだから堅いネーミングにするというのではなく、B2Cのネーミングテクニックも使っているんです。
そしてもう一つ。
ハードロックナットの製造元はハードロック工業株式会社、SmartHRを提供しているのは株式会社SmartHR、楽楽精算を提供しているのは株式会社ラクス。
会社名と商品・サービス名を一致させているか、完全に一致していなくても近づけています。
商品・サービス名と会社名を一致させることで、ブランドを一点に集中させる。露出を増やして、認知度の向上に繋げ、信用を積み上げることに役立てているんですよね。
かくいう私がやっている弁理士業務もB2B向けのサービスです。特許・技術系の仕事では、「ローテク弁理士®」、商標・ネーミング・ブランディング系の仕事では「ネームチェンジャー®」と、対応分野やサービスの内容がわかりやすい肩書きで活動しています。
B2Bの名前こそ、守り育てる価値がある
B2B商品は機能性を追求している商品が多い。だからこそ、息の長い商品になりやすい。ここが流行り廃りの激しいB2C商品と違うところです。
一度、信頼を勝ち取れば取引が長く続く。その商品名は長く使われ、ユーザーからの信頼が積み重なっていく。
だからこそ、良いネーミングを考え、その名前を商標登録し、しっかり守り育てていく価値があるということです。商品としての信頼を勝ち取ったのに、他社に名前をかっさらわれ、商標登録されてしまったら目も当てられません。
ユーザーがあなたの会社の商品と間違えて他社商品を買ってしまうおそれもあるし、その他社商品の品質が悪ければその悪評のとばっちりを受け、せっかく築き上げた信頼が崩れ去ってしまうことだってあるんです。
B2Bネーミングのまとめ
「うちはB2Bだから」は、ネーミングに取り組まない理由にはなりません。むしろ、長く使ってもらうB2B商品だからこそ、名前が効いてくる。
一度、あなたの会社の社名や商品名・サービス名が、「機能が伝わる、覚えやすい名前」になっているか、確認してみてください。工夫すべき点が見つかるかもしれませんよ!
さて、次回は、「うちみたいな中小企業に、ネーミングなんて関係ない」という誤解について。
広告の規模では大企業に敵わない中小企業こそ、名前を武器にして戦ってみてはどうか?という提案をする予定です。
今後も中小企業に役立つネーミングやブランディング、商標登録の話を続けていきます。よかったらお付き合いくださいね。
「ネームチェンジャー®の視点」は、中小企業様や個人事業主様のビジネスを跳ねさせる商標登録や商品名のネーミング、企業のブランディングの話をお届けしています。
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