大企業が本気を出した「豆なしコーヒー」。「CAFE WATER」という命名を、弁理士・ネームチェンジャー®がバッサリ斬ってみた!
コカ・コーラの新商品「CAFE WATER」。コーヒー豆が供給不足になることを見越した、コーヒー豆を使わないコーヒー?です。代替材料を使わず、コーヒーの風味を再現した飲料です。
今日はこの「CAFE WATER」という命名を、弁理士・ネームチェンジャー®がバッサリ斬ります!
■ 新商品「CAFE WATER」のネーミングを専門家目線で斬る
はじめに、結論から言ってしまいましょう。
ネーミングとしては激弱です!(笑)
コーヒー系飲料に「CAFE」、飲み物に「WATER」。これ、まんま中身の説明ですよね。
商標の世界には「識別力」という考え方があります。ざっくり言うと、その商標が付いていることによって、どこの会社の商品かわかるか?ただの商品内容の説明になっていないか?の目安です。
説明的な言葉は皆が使うもの。だから、そこは誰かに独占させるのではなくて、フリースペースとして空けておく。これが特許庁の考え方です。だから、識別力が弱い商標は登録することが難しいんです。そして、識別力が弱い商標は個性がないので、ブランド化も難しい。
では、同じ「〇〇+ウォーター」である「カルピスウォーター」はどうか?
「〇〇」の部分が「カルピス」です。「カルピス」は有名な飲料ブランドですよね。だから、「カルピスウォーター」という名前を見れば、「カルピス」が出した新商品だ、「カルピスを水で割った飲み物かな」と一瞬で伝わるわけです。
これに対して、「CAFE WATER」。「CAFE」は、コーヒーの普通名称です。「カルピス」のようにブランド力を発揮する言葉ではありません。「カルピスウォーター」に比べたら識別力(≒独自性)が段違いに弱いんですよ。
しかも、説明的な言葉にも拘らず、商品の最大の特徴(コーヒー豆を使っていない)も伝わらない。せいぜい「新しいコーヒー系の飲み物?」と思うくらいです。
J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)で調べてみたら、コカ・コーラは2026年2月に、「CAFE WATER\カフェウォーター」という二段書きの商標を出願していました(商願2026-15092)。
さすが大企業。しっかり手当てしています。ただ、これが素直に登録されるかどうかは、識別力の弱さを考えるとかなり微妙です。まぁ、コカ・コーラは大企業ですから、ゴリゴリと反論して審査官を屈服させてしまう可能性もあるんですが(苦笑)
■ でも、たぶんコカ・コーラはそれでいい
「名前の識別力が弱くて、豆なしという特徴も伝わらない。それじゃぁダメじゃん!」
今までの話を聞くとそう思いますよね。でも、私はこれでいいんじゃないかと思っています。
コカ・コーラの狙いは、商標でガチガチに囲い込むことではなく、『豆なしコーヒー』という新ジャンルの商品を世間に認知させればそれでOK!そう考えているのではないかと予想しています。
商品名は、「新しい商品が出たぞ!」ということを気づかせればいい。「コーヒー系のドリンクなんだろうな」と、気づかせたらそれでいい。興味さえ惹ければ、「豆を使っていない」などの特徴は宣伝やパッケージで伝えればいい。名前で独占しなくても、他社の類似商品が出てきても、新ジャンル飲料の市場全体のパイが広がってくれればいい。
なぜか?新ジャンルの市場が広がれば、いちばん強いブランド力を持っているコカ・コーラの商品が売れるから。ここで看板(ブランド力)の強さが物を言う。これ、ものすごく大企業らしい戦い方です。
■ 中小企業のネーミングは大企業のそれとは、ちと違う
さて、ここからが本題。
コカ・コーラの「CAFE WATER」の戦術、中小企業でそのまま使えそうですか?私はこれは大企業だからできる戦術、中小企業は別のやり方をした方がいいんじゃないかと考えています。
①新ジャンルより、自社商品をアピールする
コカ・コーラは新ジャンル・新たなカテゴリをアピールしました。商品名で独占することよりも市場全体を広げることを選んでいるように見えます。
それは自分たちのブランド力に自信があるから。市場さえ広がれば、自分たちのブランド力でその市場を制圧できると思っているから。
一方、中小企業が同じことをやったら、どうなるでしょう?苦労して市場が育った頃に、体力・資金力に物を言わせた大企業に丸ごと持っていかれるんじゃないですか?
だから中小企業は識別力のある商品名、独自性のあるその会社ならではの名前を付けた方がいい。これが私の考えです。使用原料や機能、品質などを名前にするのではなく、ユーザーの感情・体験・ベネフィットなどを言語化し、名前に落とし込む。自分だけの言葉で囲い込む。こっちの方が合理的です。
②ネーミング→調査→出願→発表の順番を間違えない
「いい名前ができた!」。その瞬間がいちばん危ない。
決して舞い上がることなく、冷静になりましょう(苦笑)
このメルマガを読んでいる方には耳タコかもしれませんが、まずは調査!
走り出した後に、「実は似た商標がありました...」では笑い話にもなりません。全部イチからやり直し、になりますから。
ネーミング → 調査 → 出願。ここまで終わって、漸く発表です。出願が終われば、プレスリリースを打つなり、SNSで発表するなりしてください。せっかくのネーミングをパクリ野郎にかっさらわれませぬよう..。
■ おわりに
大企業は弱い名前でも市場を制圧できる力がある。
でも、その体力がない中小企業にとっては、識別力のある「強い名前」を考えるという方が合理的な判断です。ジャンルやカテゴリを抑えるという野望を捨てて、まずは自社の市場を確保しましょう。ローラー作戦より一点突破をオススメします!
あなたが新商品や新規事業の名前でお悩みなら、まずはJ-Platpat(特許情報プラットフォーム)で商標検索をしてみてください。「この名前、いけるかな?」と迷った時はいつでもご相談してくださいね。
しかし、コーヒー豆を使わない、この「CAFE WATER」。一体どんな味なんでしょう。コーヒーっぽい味なのか?今までにない新感覚のドリンクなのか?
私の好物・スイーツとの相性も気になるところです!(笑)
「ネームチェンジャー®の視点」は、中小企業様や個人事業主様のビジネスを跳ねさせる商標登録や商品名のネーミング、企業のブランディングの話をお届けしています。
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大企業なら弱い名前でも市場ごと広げられますけど、中小企業は自分を守る視点が必要なんですね。ネーミングは言葉遊びじゃなく、戦い方そのものですね☺️
そうですね。資金力に乏しい中小企業は力技でゴリゴリいくわけにはいきませんから。綿密な作戦が必要です!